
福島県川俣町の観光農園「スマイルファーム」(伊達郡川俣町、TEL 070-4084-2799)が9月1日、就労継続支援B型事業所「すまいるふぁーむ」を開所した。イチゴの育苗やアンスリウムの栽培などの農業を通して、障害のある人の働く場と地域との接点づくりを目指す。
運営するのは、農園を立ち上げた谷口豪樹(ごうき)さん。埼玉県出身で、妻の実家がある川俣町山木屋地区で2017年に農業をスタート。川俣町の特産にもなっている「復興の花」アンスリウムの栽培に取り組んだ後、「農業や地域を盛り上げたい」との思いから、2021年に法人化し、「smile farm」を設立。翌2022年には、観光農園「スマイルファーム」をオープンした。
谷口さんは「イチゴの苗づくりなど農業には人の手が欠かせない。資材や人件費の高騰もある中で、昨年就労支援の方に半年ほど手伝ってもらったことが大きなきっかけになった」と振り返る。その経験を通して就労支援の実情を知り、農福連携の可能性に気付いたという。
新たに開所した事業所では、アンスリウムの栽培やイチゴの育苗、観光農園での接客対応など幅広い業務を展開。作業は細かく分かれており、「利用者一人一人の特性に応じて、得意なことや関心に合わせた業務を担ってもらえる環境を整えている」と谷口さん。イベント出店や農産加工、キッチンカーの運営といった6次産業化にも取り組んでおり、多様な仕事に触れることができるのも特徴。
開所初日から複数の関係機関からの紹介があるなど、反響は大きいという。サービス管理責任者の吉田文美香さんは「多様な業務を展開することで、利用者にとって達成感や自己肯定感の向上にもつながるはず」と期待を込める。
谷口さんは「農業の担い手不足という地域課題の解決と、利用者の生活支援を両立できる場所を目指したい。やりたいことをかなえられる場所でありたい」と話す。
今後について、吉田さんは「B型事業所に加え、グループホームやシェアハウスの運営など、障害福祉分野でも事業展開を視野に入れている」と意気込みを見せる。