見る・遊ぶ 暮らす・働く 学ぶ・知る

福島・如春荘で「イヨマンテ」の映像上映 クマとの付き合い方のヒントに

来場を呼びかける「如春荘」管理人の佐藤宏美さん

来場を呼びかける「如春荘」管理人の佐藤宏美さん

  • 0

  •  

 アイヌ民族の伝統儀礼を記録した映像作品「イヨマンテ熊おくり」の上映会が12月12日、如春荘(福島市森合)で開催される。主催は如春荘の会。「私たちは今をどう生きるか」をテーマに民族文化映像研究所(民映研)の映像作品を鑑賞するシリーズ企画の一環で上映する。

[広告]

 民映研の映像に関心を持ったきっかけについて、管理人の佐藤宏美(ひろみ)さんは「昨年6月に福島市内で上映された『越後奥三面』という作品を見たのがきっかけ。その後、民映研が120本近い映像を持っていると知り、全部見てみたいと思った」と話す。

 今回上映する映像は1977(昭和52年)年に記録されたもの。当時既にアイヌ文化が若い世代の間で薄れつつある中、伝統儀礼を残そうと当時の若者たちが記録した貴重な資料だという。「アイヌの人々は子熊を育て、成獣になる前に命を頂く。その肉や皮を神からの贈り物として受け取る一方、魂は神の元へ返すという世界観を持っている。魂は神様なので、それを返して、物だけを頂くのがアイヌ民族の考え方」と佐藤さんは説明する。

 「イヨマンテ熊おくり」の映像を選んだ背景について、「今年は全国各地でクマのニュースが相次ぎ、福島でも街なかにまで出没した。『殺すな』という声と『早く駆除すべき』という声がSNSで対立しているのを見て、昔の人たちがクマとどう向き合ってきたのかを知ることが、今を考える材料になると思った」と佐藤さん。

 2回の上映を予定し、2部では山形で山伏として活動する成瀬正憲(まさのり)さんをゲストに迎え、トークショーを行う。成瀬さんは植物を採取しながら山と向き合う生活を送っており、「山に敬意を払う姿勢がアイヌの人たちと通じる部分があるのでは」と佐藤さんは話す。

 佐藤さんは「熊と人間の生活が切っても切り離せない今、イヨマンテの映像がクマとの付き合い方を考えるヒントになれば」と来場を呼びかける。

 15時開場。上映時間は、1部=15時30分~17時13分、2部=18時~21時(ゲストトーク含む)。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース