農産加工直売所「あくあシロップ」(福島市飯坂町)が1月13日、福島市飯坂町オープンした。
看板・広告業などを手がける福島市の「アクアデザイン」が経営する。専務で「あくあシロップ」店長の佐藤玲子さんは飯坂町出身。実家が果樹農家で、小学生の頃には草刈りを一人前にこなし、「大地のざわめきが聞こえるような環境」で育ったという。後継者のいない実家の果樹園で桃の木を伐採した際、涙のように流れ出る樹液に心を打たれ、「この地を守り、次の世代へつなぎたい」との思いから、同業を営む傍ら、2020年に両親から果樹園を引き継ぎ、「アクア農園」を開園した。若者への技術継承や、福祉施設との連携などを視野に入れた農業活動に取り組んでいる。
農園では、飯坂町で両親から受け継いだサクランボや浪江町をルーツに持つエゴマ、国見町で在来品種のアンズなどを中心に栽培している。アンズ栽培を始めたのは農業参入翌年の2021年。継承に困っていた国見町の佐藤昭七さんの畑を引き継いだ。「始めは断ることも考えていたが、樹齢90年のとても立派なアンズの木を前にして、『これをなくしてはいけない、継承しなければ』と決意した」と佐藤さんは振り返る。
店名の由来について、佐藤さんは「母が作ってくれた桃のシロップが大好きだった。子どもを思う気持ちや、そのおいしさをよく覚えている。その味をもう一度表現したくて、この名前を付けた」と話す。
店内は、白とアンズ色を基調に、壁面には「道」を表現したデザイン、のれんにはパッチワークを取り入れた。これまでの歩みや人とのつながりへの思いを込め、人や思いを「つなぐ」ことをテーマにしたデザインを随所に施しているという。佐藤さんは「看板・広告業から農園業、加工業、店舗経営と、ここに至るまでたくさんの方に道をつないでもらった。多くのご縁があって店を開くことができた」と話す。
同店では、自社農園で採れた果物を使った加工品のほか、加工を担った商品や、縁のある農園や企業の商品も販売している。佐藤さんの「お薦め」は、同園が手がける「国見町100年アンズジャム」(800円)とセミドライフルーツ「国見町100年アンズ・アンズと塩コンブ」(480円)、果汁をたっぷり使った「アンズシロップ」(800円)、ドライフルーツとフルーツソースを自由にトッピングできる、アイス「きよミルクカップ」(440円)。ほかにも、リンゴ・桃・柿などの種類豊富なドライフルーツ、エゴマ加工品、野菜、お茶、スイーツ、フルーツドリンクなどもそろえる。POPは飯坂言葉で書いた。
佐藤さんは「オープンして数日だが、小学生など子どもたちが来てくれるのがうれしい」とも。今後については、「農産物だけでなく、その背景にある里山の環境や暮らしを次世代に伝えていきたい。地元の人や観光客に、福島の大地を感じる体験を提供できれば。これからも大地の魅力を発信していきたい」と話す。
営業は水曜・金曜・土曜の10時~15時。