福島市松川の水原右輪台(うわだい)山(福島市松川町水原)で現在、しだれ桜が見頃を迎えている。
かつて水原地区は養蚕が盛んな地域で、右輪台山にはたくさんの桑畑があったが、養蚕業の衰退とともに荒廃農地が増えたという。当時の水原地区青年団が、右輪台山の荒廃農地の整備と地域の花見の場作りを兼ね、1999(平成11)年3月、約120本のしだれ桜を植樹した。現在は沿道約400メートルにわたり、108本のしだれ桜が並ぶ。水原右輪台山のしだれ桜を育てる会会長の丹野政光さんは「養蚕業が衰退し、右輪台山の桑畑は荒れていた。このままではいけないという思いと、年をとった時に地域のみんなで花見ができたらという思いで、しだれ桜を植えることに至った。地主の方々が気持ちよく承諾してくださり、植樹させてもらった。150センチくらいの高さ、親指くらいの太さの苗木だった」と振り返る。
「右輪台山しだれ桜まつり」は2013(平成25)年に始まり、今年で10回目。昨年は2万1000人以上が訪れた。「23年前、こんなに人が来る桜まつりになるとは思っていなかった。今では地域の方だけでなく、県外から来る方もいらっしゃる。元々は地域の方々が楽しむために植えたものだったので複雑な心境もあるが、『素晴らしい桜。ここに来て良かった』という言葉を聞くと、やった価値がある」と丹野さんは話す。
まつりの期間中、上町のカフェ「ミューム」が出店し、コーヒーや焼き菓子を販売。ミューム店主の安齋圭祐さんは「水原出身で、小学生の頃、自転車でよく桜を見に来ていた。背丈もないくらいのひょろっとした桜がこんなに立派になって感慨深い。カフェ経営をし始めたので、ここに出店することで何か協力できればと思った」と話す。
4月4日現在は三~五分咲き。例年より10日以上開花が早く、7日には満開になりそうだという。18時~21時には、地元有志で設置したあんどんとちょうちんが点灯する。「しだれ桜は病気に強い。先々まで後継者が桜の育成を引き継いでくれたらありがたい」と丹野さん
「右輪台山しだれ桜まつり」は4月16日まで。