「二本松ドライブイン 中華蕎麦(そば)こばや」(二本松市長命、TEL 024-324-7160)が12月15日、二本松市の国道4号沿いにある旧「二本松ドライブイン」跡に移転オープンした。
福島市松川町のJR金谷川駅前で10年間営業していた同店が、店主の地元である二本松へ移転した。店主の廣田裕介さんは、二本松市旧東和町で140年以上続く製粉業「木羽屋(こばや)」の5代目。幼少期から実家の粉で麺を作るなど食に親しみ、「将来は実家の屋号を掲げてラーメン店をやりたい」と2015(平成27)年に松川町で開業。10年の節目に自身のルーツである二本松へ拠点を移した。
移転のきっかけについて、廣田さんは「市内でも歴史ある『二本松ドライブイン』が閉店すると聞き、昭和のドライブイン文化や食堂文化を残したいと強く思った」と話す。
店内は旧店舗のレイアウトや雰囲気を残し、丼などの食器類も当時のものを使うことで、長年愛されたドライブインの面影を継承する。席数は、カウンター、テーブル、座敷を合わせ50席を用意する。
同店最大の特徴は、入り口すぐの場所に設置された製粉機と製麺室。「ひきたて、打ちたて、もみたて」にこだわり、店内で製粉から製麺までを一貫して行う。廣田さんは「自家製麺の店は多いが、店舗併設で自家製粉まで行うラーメン店は東北でも珍しいのでは。穀物商の歴史を持つ製粉屋がルーツの店ならではの一杯を提供したい」と胸を張る。
メニューは、「煮干し味玉中華そば」(1,150円)などの定番に加え、旧ドライブインの看板メニューをオマージュした「名物スタミナラーメン」(1,100円)を新たに提供する。ピリ辛の豚肉、素揚げしたニンニク、ニラ、温泉卵などをトッピングし、自家製ラードを使って「スタミナ満点に仕上げた」という。
そのほか、食堂としての利用も想定し、定食メニューやアルコール類も充実させた。「奥の松酒造」(二本松市長命)が近隣にあることから地酒のカップ酒なども用意する。伊藤さんは「オープン初日から、近所に飲む場所ができたと喜んでくれる常連客もいた。食事だけでなく、晩酌を楽しむ地域の居酒屋的な役割も担えれば」と話す。
今後について、「二本松を活性化し、失われつつあるドライブイン文化を次世代につないでいきたい。たかがラーメン屋だが、その一杯でお客さまの満足度を高められるよう努力していく」と意気込みを見せる。
営業時間は、平日=11時~15時・17時30分~20時、土曜・日曜・祝日=10時30分~18時。水曜定休。